「愛の診察室 2」
健康のために禁煙を決意した矢先
胸がシクシク痛みはじめました
痛みは去らず 不安がつのりました
がんじゃないかしら がんじゃないかしら
そうしていたずらに時間だけがすぎていきました
ぼんやり雲をながめていると涙がこぼれそうになります
わたり鳥のなき声を聞いているとふとあれはわたしじゃないかしらと思っています
このままではいけない
わたしは医者に行く決心をしました
体の具合をことこまかにご報告しました
それから勇気をふりしぼってたずねたのです
わたし.. 先生 がんじゃないかしら
先生は無関心にカルテをながめています
はい がんじゃありません
え わたしはあっけにとられて何も言えません
がんじゃないかしら がんじゃないかしらと思いつめるあまり
期待はずれのような 拍子抜けしたような 妙な気持ちになったのです
先生はもう次の患者のカルテを準備しはじめました
わたしはつめよりました
がんじゃないなら この胸の痛み 高なる鼓動 微熱にも似たこのほてり
どう説明してくださるんですか
恋です
そっけない返事でした
わたしは夕日のように顔を赤らめ さらにさらにつめよります
自分でも気づかないまま 誰に恋をするというのですか
詩人に、です
ほら ごらんなさい
あなたはとっくに詩の中に入りこんで
主人公にさえなっているのですから。
posted by kauhi at 17:55|
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